DTMにモニターヘッドフォンは必須!パソコンとDAWだけでは音が正確に聴けない理由
DTM(デスクトップミュージック)をこれから始める人にとって、「ノートパソコンとDAWソフトがあれば作曲できる!」というのは事実です。しかし、もう一つ大事なポイントを見落としてはいけません。 それは、正しい音で聴くための環境です。 初心者の多くはパソコンの内蔵スピーカーで音を確認してしまいますが、これは非常に危険。
パソコン内蔵スピーカーじゃ話にならない
なぜなら、内蔵スピーカーはサイズも小さく、再生できる音域も限られており、低音も高音もバランスが崩れて聴こえてしまうからです。 その結果、「良い曲ができたと思ったら、スマホで聴くと全然違う音になっていた」ということが頻繁に起こります。
そこで必要になるのが、DTM専用のモニターヘッドフォンです。正確な音を聴けることで、作曲・ミックスの質が劇的に向上します。
初心者のうちから耳を鍛えるべき
特に初心者のうちは音の違いに気づきにくいため、耳を育てる意味でもモニターヘッドフォンは重要なアイテムです。 さらに、夜中に作業する場合はスピーカーを使うと家族や近隣に迷惑がかかることも。モニターヘッドフォンなら、周囲を気にせず集中できます。
DTM初心者向けモニターヘッドフォンの選び方|リスニング用との違いを知ろう
リスニングヘッドフォンとは?
普段私たちが音楽を楽しむために使うリスニング用ヘッドフォン。実は、低音を強調したり、高音を華やかにしたりと、「音楽を気持ちよく楽しむ」ことに重点を置いています。知っていましたか?
モニターヘッドフォンとは?
モニターヘッドフォンは「正確に音が聞こえる」ことを最も重視します。ミックス作業では、各楽器やボーカルの音量、定位、エフェクトのかかり具合など、細かなバランスを調整する必要があります。このとき、再生音に色付けがあると、本来の音と異なる判断をしてしまい、結果的に不自然な仕上がりになってしまうからです。
フラットな音質は、正しい判断を可能にし、楽曲の完成度を高めるために不可欠なのです。

DTMモニターヘッドフォンには、装着方式2種類と音響的構造2種類がある
モニターヘッドフォンは、大きく分けて装着方式と音響的な構造の2つの観点から分類できます。
装着方式による分類
ヘッドフォンが耳にどのようにフィットするかによって、音の聴こえ方や快適性が異なります。
- 耳全体を覆うようにイヤーパッドが設計されており、比較的大きなハウジングが特徴です。
- メリット: イヤーパッドが耳の周囲に密着することで、高い遮音性を実現しやすく、外部の音を遮断して音楽に集中できます。また、耳への圧迫が少ないため、長時間の使用でも疲れにくい傾向があります。
- デメリット: サイズが大きめであるため、携帯性には劣ります。

- イヤーパッドが耳の上に直接乗るように設計されています。オーバーイヤー型よりも小型で軽量なものが多いです。
- メリット: コンパクトで持ち運びやすく、カジュアルな使用に適しています。オーバーイヤー型に比べて、周囲の音も適度に聞こえるため、作業中に周りの状況を把握しやすい場合があります
- デメリット: 耳への直接的な圧迫があるため、人によっては長時間の使用で耳が痛くなることがあります。また、遮音性はオーバーイヤー型に比べて劣る傾向があります。

音響的構造による分類
- 特徴: 外部の音を遮断し、音漏れを防ぎます。音が耳の中に閉じ込められるため、細かいノイズや音量の微調整に向いています。家庭での作業や録音ブース内での使用に最適です。
- メリット: 遮音性が高く、周囲を気にせず作業できます。録音時のマイクへの音漏れも防げます。
- デメリット: 音の広がり(音場)がやや狭く感じることがあります。

- 特徴: 背面が開いており、空気が抜けることで広がりのあるサウンドが特徴です。音場が広く、自然な音の定位や奥行きを感じやすいです。繊細なミックスやリバーブの確認に適しています。
- メリット: 音の立体感や空気感がわかりやすく、耳が疲れにくいです。
- デメリット: 音漏れが大きく、周囲に音が筒抜けになるため、静かな環境での使用が前提となります。

- 特徴: 密閉型と開放型の中間的な特性を持つタイプです。ハウジングに小さな穴やスリットがあり、密閉型よりも音抜けが良く、開放型ほど音漏れがないのが特徴です。音場の広がりと遮音性のバランスが良く、長時間作業での聴き疲れも少ない傾向にあります。
- メリット: 密閉型の遮音性と開放型の自然な音場感を両立します。耳が疲れにくく、長時間の作業に適しています。
- デメリット: 密閉型ほどの完璧な遮音性や、開放型ほどの広大な音場は期待できません。

【2025年最新】DTM初心者におすすめ!定番モニターヘッドフォン5選
ここでは、DTM初心者の方にもおすすめできる、実績と人気の高いモニターヘッドフォンを5つご紹介します。
1. SONY MDR-CD900ST(密閉型)|業務用スタジオの絶対的スタンダード
日本の音楽スタジオで圧倒的な信頼を得ている超定番モデルです。再生周波数帯域が広く、解像度の高いモニタリングが可能です。ミックス作業に最適で、多くのプロが使用しています。 「まずこれを買えば間違いない」と言われるほどの信頼性があり、耐久性も高く長く使えるでしょう。

■ タイプ :密閉型(クローズドバック)
■ 装着方式 :オーバーイヤー(耳を覆う)
■ 周波数特性 :5Hz~30kHz
■ インピーダンス:63Ω
■ 感度 :106dB/mW
■ ケーブル :ストレート(固定)
■ 重量 :約200g(ケーブル除く)
■ 特徴 :超フラットな音質、業務用スタジオでの定番
■ 用途 :ミックス、録音、編集全般に対応
■ 初心者おすすめ:★★★★☆
■ メモ :「迷ったらこれ」で通じる信頼の一本
業務用スタジオの絶対的スタンダード
2. Audio-Technica ATH-M50x(密閉型)|世界中で使われる万能モデル
世界中のDTMユーザーに人気の高い、コストパフォーマンスに優れたモデルです。低音から高音までのバランスが良く、リファレンス用としても優秀です。折りたたみ可能で持ち運びもしやすい点が魅力。 音質・価格・装着感のバランスが非常に良く、初心者から上級者まで使える万能モデルと言えます。

■ タイプ :密閉型
■ 装着方式 :オーバーイヤー
■ 周波数特性 :15Hz~28kHz
■ インピーダンス:38Ω
■ 感度 :99dB
■ ケーブル :着脱式(3本付属:カール/短/長)
■ 重量 :約285g(ケーブル除く)
■ 特徴 :バランス◎、折りたたみ対応で携帯性も高い
■ 向いている用途:ミックス、録音、ポータブル制作
■ 初心者適正度 :★★★★★
■ メモ :初めてでも末永く使える優等生モデル
世界中で使われる万能モデル
3. Sennheiser HD25(密閉型)|遮音性に優れた軽量モニター
DJやライブ現場でも活躍する高感度なヘッドフォンです。軽量でフィット感があり、長時間の作業にも向いています。高い遮音性が魅力。 外音をしっかり遮断し、ノイズのチェックやレコーディング用途に強いです。

■ タイプ :密閉型
■ 装着方式 :オンイヤー
■ 周波数特性 :16Hz~22kHz
■ インピーダンス:70Ω
■ 感度 :120dB
■ ケーブル :片出し固定式
■ 重量 :約140g
■ 特徴 :遮音性抜群、軽量で長時間使用にも
■ 向いている用途:録音、ノイズチェック、ライブ現場
■ 初心者適正度 :★★★☆☆
■ メモ :小型ながらプロ現場で高評価
遮音性に優れた軽量モニター
4. AKG K702 Y3(開放型)|開放型の高解像度リファレンス機
音場が非常に広く、ミックスやマスタリング向きのモデルです。開放型の中でも音の解像度が高く、繊細な表現に優れています。着脱式ケーブルとベロア製イヤーパッドで高級感もあります。 自宅スタジオで集中してミックスを行う中上級者におすすめです。臨場感のある音で作業の精度が向上するでしょう。

■ タイプ :開放型(オープンバック)
■ 装着方式 :オーバーイヤー
■ 周波数特性 :10Hz~39.8kHz
■ インピーダンス:62Ω
■ 感度 :105dB SPL/V
■ ケーブル :着脱式(ミニXLR端子)
■ 重量 :約235g
■ 特徴 :広い音場と定位感、繊細な音表現
■ 向いている用途:ミックス、マスタリング
■ 初心者適正度 :★★★★☆
■ メモ :静かな作業環境で力を発揮
開放型の高解像度リファレンス機
5. CLASSIC PRO CPH7000(密閉型)|価格破壊の高コスパ密閉型
サウンドハウスが提供するコストパフォーマンス最強のモデルです。初めてのDTMヘッドフォンとして最適で、実売価格が手頃ながら、解像度が高く疲れにくい設計がされています。 とにかくコストを抑えたい初心者にうってつけのモデルです。価格以上のクオリティで入門用に最適と言えます。

■ タイプ :密閉型
■ 装着方式 :オーバーイヤー
■ 周波数特性 :10Hz~30kHz
■ インピーダンス:64Ω
■ 感度 :非公表(実用上問題なし)
■ ケーブル :固定式(3m)
■ 重量 :約250g
■ 特徴 :初心者向けの超低価格、基本性能は十分
■ 向いている用途:DTM入門、学習用、予備機
■ 初心者適正度 :★★★★★
■ メモ :とにかく安く始めたいならコレ一択
価格破壊の高コスパ密閉型
CLASSIC PRO CPH7000に決めた理由
筆者が初めて購入したDTM用モニターヘッドフォンは「CLASSIC PRO CPH7000」でした。サウンドハウスの口コミ評価の高さと、配送・サポートの対応の早さが購入の決め手でした。実際に装着して音を聴いた瞬間、「あれ?今まで聴いていた音は何だったの?」と感じるほど、細かい音の粒や残響が明確に聴こえるようになりました。モニターヘッドフォンを使うだけでDTMのレベルが一段階上がった感覚があり、価格も手頃でDTM初心者には文句なしの入門機だと感じました。
まとめ:DTMモニターヘッドフォンで音楽制作の質を上げよう!
DTMにおいて、ノートパソコンとDAWソフトだけでは正確な音を聴くことが難しく、楽曲の完成度が下がってしまう可能性があります。
- DTMでは、リスニング用ヘッドフォンではなく、「音の正確さ」を追求したフラットな音質のモニターヘッドフォンが必要です。
- 密閉型、開放型、半開放型の3種類の構造の違いを理解し、自身の用途や作業環境に合わせて最適なものを選びましょう。
- 今回ご紹介したSONY MDR-CD900ST、Audio-Technica ATH-M50x、Sennheiser HD25、AKG K702、CLASSIC PRO CPH7000は、いずれも高い評価を得ている定番モデルです。
- 特にDTM初心者の場合は、コストパフォーマンスに優れたCLASSIC PRO CPH7000からスタートするのがおすすめです。 正確なモニター環境を整えることで、あなたの音楽制作の質は劇的に向上するでしょう。