其の四 DTMの音質を格段に上げる!オーディオインターフェースの選び方とおすすめ7選

DTMの音質を格段に上げる!オーディオインターフェースの選び方とおすすめ7選

前回の記事で、DTMを始めるにあたって必要なものとして、ノートパソコン、DAWソフト、モニターヘッドホンの3点を挙げました。しかし、DTMに関する情報を集めていると、必ずと言っていいほど目にするのが「オーディオインターフェース」の存在です。

「最初は必要ない」と言われることもありますが、DTMを続けていく上で、オーディオインターフェースは必須アイテムと言えるでしょう。今回は、オーディオインターフェースの役割とそのメリット、そしておすすめのモデルをご紹介します。

オーディオインターフェースって何?その役割と重要性

オーディオインターフェースは、一言で言えば「音のアナログ信号とデジタル信号を変換する専門機器」です。

例えば、ギターやマイクなどのアナログ音源をパソコンに取り込む際、音はデジタルデータに変換されます。逆に、パソコン内のデジタル音源をスピーカーやヘッドフォンで聴く際には、アナログ信号に戻されます。

これらの変換作業はパソコン内部でも行われますが、オーディオインターフェースは、この変換をパソコンの代わりに、より高品質に行ってくれます。これにより、パソコンへの負荷を軽減しつつ、圧倒的に高音質なサウンド環境を実現できるのです。

オーディオインターフェース導入の3つのメリット

オーディオインターフェースを導入することで、DTM環境は飛躍的に向上します。主なメリットは以下の3点です。

オーディオインターフェースを使用することで、ノイズや歪みが少なく、よりクリアで原音に忠実なサウンドを実現できます。

音質
  • 高音質での録音・再生: パソコン内蔵のサウンド機能と比較して、ノイズが少なく、歪みが抑制されます。これにより、原音に忠実でクリアなサウンドでの録音や再生が可能になります。
  •  広いダイナミックレンジ: 大きい音から小さい音まで、幅広い音量差を豊かに表現できます。これにより、楽曲の細かなニュアンスや表現を逃すことなく再現し、より深みのあるサウンドが得られます。
  • 安定した音質: 音の劣化を防ぎ、常に安定した高音質を提供します。長時間の作業でも、音質が劣化する心配がありません。

DAWソフトで録音する際、音の遅延は致命的です。オーディオインターフェースは、この「音の遅れ」を大幅に低減します。

低遅延
  • ASIOドライバー: オーディオインターフェースは、ASIO(Audio Stream Input/Output)のような低遅延に特化した専用ドライバーを使用します。これにより、録音時の音の遅れ(レイテンシー)が極限まで抑えられ、リアルタイムに近い演奏やモニタリングが可能になります。
  • 特に、ソフトウェア音源を鍵盤で弾いたり、マイクやギターを録音したりする際に、演奏と聴こえる音のズレがほとんどなくなり、ストレスなく作業を進められます。

パソコンのヘッドホン端子やマイク端子は限られていますが、オーディオインターフェースは、製品によって多様な入出力端子を備えています。

入出力端子
  • 複数楽器の同時録音: マイクやギター、ベースなどを複数同時に接続し、それぞれを独立したトラックとして録音することが可能になります。これにより、バンド演奏の一発録りや、複雑なレコーディングにも対応できます。
  • 外部機器との接続: モニタースピーカー(次回の記事で詳しくご紹介します)やモニターヘッドフォンはもちろん、ミキサーやエフェクターといった外部の音響機器とも柔軟に接続できます。これにより、DTMの可能性がさらに広がります。

「最初はパソコンとDAWソフト、ヘッドフォンがあれば十分」という意見もありますが、DTMを本格的に続けたいのであれば、早い段階でのオーディオインターフェース導入を強くおすすめします。

筆者も最初はオーディオインターフェースなしでDTMを始めましたが、その音質の変化や作業効率の向上に驚きました。

DAWソフトの操作に慣れることを優先しつつ、「必要だな」と感じた時にこの記事を参考に、ぜひ導入を検討してみてください。

おすすめオーディオインターフェース7選

ここでは、DTM初心者から中級者まで幅広くおすすめできるオーディオインターフェースを7つご紹介します。

STEINBERG UR22C

筆者も愛用しているモデルです。高音質で安定した動作が魅力で、DTM初心者からプロまで幅広いユーザーに支持されています。

項目内容
接続方式USB 3.0(USB-C
入力端子2x コンボジャック(XLR/TRS)
出力端子2x TRSラインアウト、1x ヘッドフォン
マイクプリアンプD-PRE(Class-A)×2
48Vファンタム電源対応
A/D**・**D/A 変換最大 32bit / 192kHz
MIDI入出力あり
ループバック機能あり
対応OSWindows / macOS / iOS
付属ソフトCubase AI, Cubasis LE
特徴音質・拡張性ともに◎、ライブ配信にも最適
初心者導入評価★★★★☆(4.5
理由初心者にもやさしいUIとドライバー。

初心者に最適

FOCUSRITE Scarlett 2i2

世界中で人気の高い定番モデル。音質の良さと使いやすさが特徴で、多くのDTMerが最初に選ぶ一台です。

項目内容
接続方式USB 2.0(USB-C
入力端子2x コンボジャック(XLR/TRS)
出力端子2x TRSラインアウト、1x ヘッドフォン
マイクプリアンプScarlett プリアンプ×2
48Vファンタム電源対応
A/D**・**D/A 変換最大 24bit / 192kHz
MIDI入出力なし
ループバック機能対応(専用ドライバ使用時)
対応OSWindows / macOS
付属ソフトAbleton Live Lite 他多数
特徴国内外問わず超定番、トラブルも少ない
初心者導入評価★★★★★(5.0
理由接続・設定が直感的でトラブルが極めて少ない、付属ソフトも豊富

超定番

MOTU M2

クリアなサウンドと優れた音質で定評があります。ディスプレイでの視覚的な入力レベル確認も可能です。

項目内容
接続方式USB 2.0(USB-C
入力端子2x コンボジャック(XLR/TRS)
出力端子2x TRS**ラインアウト、**1x ヘッドフォン
マイクプリアンプUltra-clean preamps
48Vファンタム電源対応
A/D**・**D/A 変換最大 24bit / 192kHz
MIDI入出力あり
ループバック機能あり
対応OSWindows / macOS
付属ソフトPerformer Lite、Ableton Live Lite 
特徴フロントのLCDで視覚的にレベル管理可能
初心者導入評価★★★★☆(4.0
理由高音質でプロ志向、UIも優れるがやや設定に慣れが必要

プロ志向

Apogee BOOM

コンパクトながらも高品質なサウンドを実現。iPhoneやiPadとの連携もスムーズで、モバイル環境でのDTMにも最適です。

項目内容
接続方式USB-C(バスパワー)
入力端子1x コンボジャック、1x 1/4” 楽器入力
出力端子2x ラインアウト、1x ヘッドフォン
マイクプリアンプApogee PureDIGITAL preamp
48Vファンタム電源対応
A/D**・**D/A 変換最大 24bit / 192kHz
MIDI入出力なし
ループバック機能対応
対応OSmacOS / Windows / iOS
付属ソフトECS Channel Strip、Apogee Control 2
特徴プロ仕様の音質が魅力、コンパクトで頑丈
初心者導入評価★★★☆☆(3.5
理由音質は抜群だが操作・ソフトがやや上級者向け

上級者向け

ROLAND RUBIX22

Rolandの音響技術が詰まった、信頼性の高いモデル。クリアな音質と堅牢な筐体が特徴です。

項目内容
接続方式USB 2.0(USB-B
入力端子2x コンボジャック(XLR/TRS)
出力端子2x ラインアウト、1x ヘッドフォン
マイクプリアンプRoland高品質プリアンプ
48Vファンタム電源対応
A/D**・**D/A 変換最大 24bit / 192kHz
MIDI入出力あり
ループバック機能非対応
対応OSWindows / macOS / iOS
付属ソフトAbleton Live Lite
特徴頑丈な設計でノイズ耐性が高い
初心者導入評価★★★★☆(4.0
理由ドライバ安定性抜群、設定も簡単だが配信用途では非対応な面あり

頑丈な設計

Universal Audio Volt 2

高品質なマイクプリアンプを搭載し、アナログ回路の暖かみのあるサウンドが魅力。プロ仕様のサウンドを手軽に楽しめます。

項目内容
接続方式USB 2.0(USB-C
入力端子2x コンボジャック(XLR/TRS)
出力端子2x **ラインアウト、**1x ヘッドフォン
マイクプリアンプUA Vintageモード付きプリアンプ
48Vファンタム電源対応
A/D**・**D/A 変換最大 24bit / 192kHz
MIDI入出力あり
ループバック機能非公式サポート(仮想対応)
対応OSWindows / macOS / iOS
付属ソフトUAD系バンドル・Ableton Live Lite 
特徴アナログ風味が手軽に導入できる優秀な入門機
初心者導入評価★★★★☆(4.0
理由高品質&ビンテージ風音作りに対応、ループバックが非対応なのが惜しい

アナログ風味が手軽に

安定したパフォーマンスと豊富な入出力端子を備えたモデル。付属のソフトウェアも充実しており、すぐに作曲を始めたい方におすすめです。

項目内容
接続方式USB 2.0(USB-B
入力端子2x コンボジャック、2x ラインイン
出力端子4x ラインアウト、1x ヘッドフォン
マイクプリアンプNI設計高品質プリアンプ
48Vファンタム電源対応
A/D**・**D/A 変換最大 24bit / 192kHz
MIDI入出力あり
ループバック機能なし
対応OSWindows / macOS
付属ソフトAbleton Live Lite、KOMPLETE START、MASCHINE Essentials 
特徴音源やソフトの豪華さは随一
初心者導入評価★★★★☆(4.0
理由ソフトは超充実、だが物理入出力が多く最初は少し戸惑うことも

付属のソフトウェアも充実

まとめ:DTM上達のために、オーディオインターフェースを!!

今回はオーディオインターフェースについてご紹介しました。

繰り返しになりますが、まずはDAWソフトの操作に慣れることを最優先にしてください。

そして、DTMのスキルが向上し、「もっと高音質で録音したい」「遅延なく演奏したい」と感じた時に、ぜひ本記事を参考にオーディオインターフェースの導入を検討してみてください。

あなたのDTMライフがより豊かになることを願っています!

次の、其の五 モニタースピーカーとは?DTM初心者が知っておくべき特徴と端子・性能の違い へ